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ぽい捨てゼロの街を目指して。
ごみをごみ箱に捨てるという当たり前のことを楽しめる”仕掛けごみ箱”。

仕掛けごみ箱プロジェクトメンバー

ごみ箱デザイン&音声仕掛けチームリーダー 堅田真風さん(兵庫県立大学)
誘導デザインチームリーダー 藤田茶奈さん(兵庫県立大学)
ごみ箱デザイン&音声仕掛けチーム 壷内咲花さん(武庫川女子大学)
兵庫県立大学国際商経学部 講師 黒川博文先生
 

ぽい捨てゼロの街を目指して、ナッジ(社会的に望ましい行動をそっと後押しする仕組み)の仕掛け(つい行動したくなるように仕向ける仕組み)が加えられたごみ箱がさんきたアモーレ広場に設置されていたのをご存じですか?どうすればみんながごみをごみ箱に捨ててくれるのかを考え、「ごみ箱本体のデザイン・仕掛け」「ごみ箱への誘導デザイン」の二つのチームに分かれて学生が企画段階から携わる実証実験を行われました。今回は、このプロジェクトに関わった、兵庫県立大学・黒川先生と、兵庫県下の大学生から選ばれたプロジェクトメンバー総勢10名の中から3名の方にお話を伺いました。

 

-このプロジェクトについて教えてください。

神戸市とP&Gジャパン合同会社が締結した協定の一環として、兵庫県下の大学生が「仕掛けごみ箱」をデザインし、ごみを捨てる人の行動がどのように変化するかという実証実験を行いました。東京オリンピックの表彰台が再生プラスチックで作られたと話題になりました。今回のごみ箱も、再生プラスチックを使用して作られました。

-音声や足跡マークなどのアイデアはどのように考えましたか。

堅田さん
ごみ箱デザイン&音声仕掛けチームは、ごみ箱自体のデザインとごみを捨てたくなるような仕掛けをデザインしました。仕掛けの案として、「音声、ゲーム、投票、おみくじ、ピタゴラスイッチ」が出ましたが、広場に設置するということだったので、音が出る仕掛けに決まりました。音声だったらごみを捨てる人が楽しむだけでなく、ごみ箱のそばにいる人にも聞こえるので一番効果的だと考えたんです。

藤田さん
誘導デザインチームはまず「なぜぽい捨てをしてしまうのか」について考えました。ぽい捨てをしてしまう理由として「ごみ箱が近くにないから」「ごみ箱の場所が分からないから」という案がグループから出たんです。それでごみ箱の場所を明確にすれば、みんなごみを捨てに来てくれると思い、足跡マーク・看板を作りました。実現はしなかったのですが、「ごみに気づかせる」という案も出ました。ベンチの下などの暗いところに鏡を置いて、ぽい捨てをすると見えるようにしたり、ぽい捨てのごみで汚くなったところにお花を咲かせるというアイデアも出ていました。


-このプロジェクトでうまくいかなかったことはありますか?

堅田さん
デザインチームではオンラインの話し合いで、ごみ箱の分別をしてもらえないことが課題点だと考え、分別種を分けたごみ箱をデザインしようとアイデアを練っていました。しかし、その後、回収業者さんや美化啓発員さんとお話しすると、現場では分別ではなくごみのぽい捨て自体が課題であるということが分かりました。実際に現場に行けなかったので、現場の課題にそぐわないアイデアが出てしまい、そこからの方向転換が大変でした。

壷内さん
対面でやる予定だった話し合いがコロナの影響でオンラインになってしまいました。様々な学校から集まったメンバー同士の距離感があり、コミュニケーションが取りづらかったです。各々アイデアがあってもどこまで言っていいのか悩んだと思いますし、様々なアイデアの終着点をどこにするのが良いか、リーダーも難しかったと思います。


-企業と一緒にプロジェクトをするのは初めてですか?

堅田さん
インターンシップでも企業の方と関わる機会がありましたが、このプロジェクトは利益やお金を稼ぐためではなく、環境に優しいということを目指してみんなで努力できたので、良い経験が出来ました。

藤田さん
企業と関わるのは初めてで、考えたアイデアを企業の方がそのまま実現してくださると思っていました。法律や素材など考えることが多くあり、思い通りには進まないと感じました。

壷内さん
私はこれまで行政の方や企業の方と活動した経験があり、大人がメインになって動くパターンや学生がメインになって動くパターンがありました。このプロジェクトは学生が主体ですが、コスト面など大人の方の意見も取り入れながらできたので良かったです。


-ごみ箱のお気に入りポイントはありますか?

堅田さん
フォントひとつとってもメンバー全員でこだわって決めたものなので、どのポイントではなく全体を見てもらいたいです。ごみ箱の大きさや分別種のラベルも、「これでいいんちゃう」という感じで決めたものがありません。どのポイントを見ても想いがあったなと思い出します。

藤田さん
ごみ箱誘導の看板のメートル表記がお気に入りです。これまでごみ箱まで何メートルという看板を見たことがなかったですし、看板を見た人がごみ箱があるんだと気付いて歩いてくれると思うのでお気に入りです。

壷内さん
音声や色合いを含め、どの角度から見ても、どの場所にいてもごみ箱を認識できるということに拘りました。例えば、ごみ箱の裏にはKOBEと書いてあるので道路を通っている車からも見えますし、側面には山や明石海峡大橋が書いてあるので様々な角度からごみ箱を見てもらえたら嬉しいです。


-この経験をこれからどう活かしたいですか?

堅田さん
このプロジェクトを通してぽい捨の問題は、ごみ箱を置くことやごみを捨てなければ解決すると思っていましたが、コストの面など課題が多いため、ぽい捨て問題の複雑さを感じました。これからは、ぽい捨ては絶対しないですし、ごみが落ちていたら拾います。プロジェクトのマネジメントでは勉強になったことがあるので、新しいことを始めるときにこの経験を活かしたいです。

藤田さん
私自身環境問題に興味があったわけではなく、行政の方と民間の方の関わり合いが気になって参加しました。このプロジェクトに参加して、お互いの良いところが合わさって成功したと思うので、これから就職してもいろいろな力を借りながら達成していきたいです。また、リーダーとしてアイデアを求めるときに「なぜこうなったのか」の「なぜ」を大切にしてきました。これからのプロジェクトでも「なぜ」を突き詰めていきたいです。

壷内さん
私たちがプロジェクトに取り組んでいる段階では気付かなかったのですが、神戸市だけでなく世間の風潮として街中でのぽい捨て問題に対する意識が集まっていると感じました。これから、色々なことを吸収できる若者たちにアプローチして、意識や行動を変えてもらえればいいなと思います。


-最後に、黒川先生から総評をお願いします。

黒川先生

ほとんどオンラインでミーティングを行っていたのですが、普段接することのない他大学の学生と一緒にやるというので、最初はぎこちない感じになっていました。しかし、それぞれのリーダーがどうしたらうまくいくのか考え、何回もミーティングを重ねるうちに上手くコミュニケーションを取れるようになりました。
ごみ箱デザイン、ナッジデザインについては、アイデアを具現化していく中で、様々な壁にぶつかったり、これはできないという制約が出てきました。諦めてしまうのではなく、制約を満たしつつ自分たちの思いを満たすものをどうやって実現できるのかを一生懸命考えて行動できていたと思います。


―この仕掛けごみ箱プロジェクトで経験したことを社会に出てからも活かせるよう、みなさんの活躍を期待しています。ありがとうございました。

 

【参考URL】
神戸市プレスリリース

インタビュー・文 /三野夏実(こべッコリー) 写真/中川聡子・仕掛けごみ箱プロジェクト提供

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