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最終更新日:2026年3月17日

兵庫県製紙原料直納協同組合理事長 仲清蔵さん。中央区脇浜町の有限会社仲商店ヤードにて
「親子でチャレンジ!ごみ減量ミッション 3:クイズで楽しくマスター!紙のリサイクルのヒミツ」の記事
では、家庭での紙の分別・リサイクルへの取り組み方をご紹介しました。皆さんがきれいに分別して束ねた紙たちは、その後どこへ行き、どのように生まれ変わっていくのでしょうか?
今回は、神戸市で古紙リサイクルに長年携わる、兵庫県製紙原料直納協同組合の仲 清蔵 理事長にお話を聞きました。仲理事長が代表取締役を務める有限会社仲商店 神戸中央リサイクルセンターの様子と合わせて、古紙リサイクルにかける思いなどを皆さんにもお届けします。
意外に知らない、紙のリサイクルの仕組み
Q.神戸市民が集団回収に出した古紙は、どのようにリサイクルされていくのでしょうか?
資源集団回収に出していただいた古紙はたくさんの方の協力でリサイクルされています。
①市民の皆さまが、古紙を分別し集団回収に出す
②古紙回収業者が、古紙問屋へ運ぶ
③古紙問屋のヤード(工場)で、紙の種類ごとに分けてプレス(圧縮)して梱包
④圧縮された古紙(ベール)を製紙会社等に、納品する
⑤製紙会社等で、古紙を溶かして再生紙を作る
⑥皆さんの家庭で再生紙を使った製品を使う→①へ戻る
現在、50社以上の古紙回収業者と古紙問屋で神戸古紙リサイクルの会を組織してこの仕組みを支えています。
私たち仲商店は、「古紙問屋」にあたります。ヤード(工場)に運び込みまれた古紙を、種類ごとに分けてプレス(圧縮)し、再生紙の原料として製紙会社へ納品するのが私たちの主な役割です。
Q.市内の紙が、ここに集まっているんですね!
そうですね。仲商店では、神戸市内で、企業から回収した分も合わせると年間約30,000トンもの古紙をリサイクルへとつなげています。この神戸中央リサイクルセンターは約20年前から稼働していますが、仲商店は約100年前からこの仕事をしているんですよ。仲商店以外にも市内には古紙問屋が複数あり、同じように市内の古紙を集めてリサイクルへとつなげています。
Q.仲理事長自身も長年古紙リサイクルに取り組んでいるのですか。
実家がこの仕事をやっていたので、子どもの頃は紙の山に登ったり、遊んだりして育ちました。昔は、集めた古紙を藁や紐でくくって、人の手で荷車に平積みして運んでいたんですよ。今は、大型の機械もありますし、重機やフォークリフトも使って、ずいぶん効率化されました。
私自身、この仕事に就いて27年になります。マンションなどを通りかかると、ごみ庫や資源庫をついついチェックしてしまうのは、職業病ですね。資源庫がきれいだと、「ここはきっちり管理されているな」と分かってうれしくなりますね。また、見慣れない紙を見ると、「これはリサイクルいけるかな?」と破ってみたり、消しゴムで消してみたり…。紙を見ると放っておけないんですよ。
回収された紙の行方をレポート!

仲理事長に、作業中のヤードを案内していただきました。運び込まれた大量の古紙は、種類別にトラックから降ろされます。人の目で異物をチェックし、取り除き、ショベルローダーで、古紙を圧縮・梱包する「ベーラー」という機械のベルトコンベアに乗せていきます。大量の紙が流れていく様子は圧巻!

運ばれた古紙は圧縮されて押し出され、幅1メートル✕高さ1.1メートル✕長さ1.5〜1.8メートル(最大2メートル)の塊になります。重さは、約1トン!番線という鉄線でくくり、古紙の塊「ベール」が完成します。

ヤード内に積まれたベールの山。見上げるほど高く、約5〜6メートルはあります。こちらでは、主に3種類のベールに分けて作っています。紙の種類によって色が違い、写真は左から、新聞、段ボール、雑がみのベールです。
Q.現場を見学させていただき驚きました!運び込まれた様々な紙は、どうやって分けているんですか?
トラックから下ろす場所を変えて分別しています。集団回収の場合、段ボールはすぐに見分けがつきますし、新聞は朝刊の状態でまとまっています。それ以外のものが「雑がみ」ですね。大まかにはこの3種類ですが、紙は分けようと思えば100種類以上に分けられるんです。
Q.なぜわざわざ大きな塊にプレスするのでしょうか?
一番の理由は、配送効率を上げるためで、全国統一の規格です。ベールが、製紙メーカーへ運ばれると、コンベヤに乗せられて、縛っている番線が自動で切られ、そのままパルパーというミキサーのような機械に入れてかき混ぜ、ドロドロの液状になるまで溶かします。紙の繊維に戻して、そこから再び紙を作るんです。古紙がバラバラの状態だと、運ぶのも、製紙工場での処理も、非効率になってしまうんですよ。
集団回収の「助かる!」と「困った!」のホンネを聞きました

Q.集団回収に出す時に、「これは助かる!」という出し方はありますか?
皆さまにご協力いただきたいポイントが、3つあります。
- 紐でしっかり縛る:持ち上げた時に古紙がバラバラにならないように、紐でしっかり梱包して、飛び散らないようにしてくださると助かります。
- 回収場所での整理整頓:家庭で新聞、段ボール、雑がみを分別していただいていますが、回収場所でもそれぞれの「山」を分けておいてほしいですね。
- 段ボールは畳む:段ボールは基本的に畳んで出してください。箱の形のままだと、トラックにたくさん積めなくなってしまいますし、風で飛ばされやすくなります。
Q.反対に、「これは困る(NG)」というものは何でしょうか?
せっかく皆さんが分別して出してくださった古紙を、しっかり資源としてリサイクルするために、覚えておいてほしいことをいくつかお伝えしますね。
- 異物の混入:新聞の束に、雑誌や牛乳パックが混ざっているのは困りますね。紙ではない、電池や発泡スチロール、クリアファイルなど、全く違うごみが混入しているケースが一番困ります。
- リサイクルに向かない紙(禁忌品):詳しくは、資源集団回収の出し方を見てほしいのですが、例えば、ビニール、圧着はがき、感熱紙、シールは避けてほしいです。ほかにも、ろう紙(段ボールの内側に防水処理されたもの)、カーボン紙、紙コップや紙皿、写真印画紙などもNGです。ピザやケーキの箱も、油や汚れがついているので、リサイクルできません。
- 詰め込みすぎ:大きい段ボール箱の中に紙を詰め込んで、出されると重くて回収が困難です。
- 回収時間を守らない:回収時間を守り、後から出さないことも徹底してほしいですね。回収後に出されると散らかったり、風で飛ばされたり、街を汚してしまいます。間に合わなかったら、次の回収日をお待ちください。
- 天候の悪い日は無理をしない:台風や大雨の日は紙が飛散してしまうので、無理に出さないでください。多少濡れても最終的には溶かすので大丈夫なのですが、積みづらくなったり重量が変わってしまったりと、現場としては大変なんです。天候によっては古紙回収を中止されることもあるので、出して良いか迷ったら、地域で契約する回収業者にお問い合わせください。
Q.資源回収に出せるかどうか、迷ったときの見分け方のコツはありますか?
市民の皆さんは、神戸市のホームページで確認していただくのが一番です。最初は迷うこともあるかと思いますが、何回か分別しているうちに自然とわかるようになりますよ。
神戸のまちと歩んだリサイクルの歴史
Q.長年神戸でこのお仕事をされていて、昔と今で変わったことはありますか?
紙のリサイクルは、大きく変わりましたね。紙の回収量は2007年をピークに、今は当時の3分の1にまで減っています。新聞を読む人が減り、雑誌も半減しましたね。スマホの普及の影響が大きく、コロナ禍でペーパーレス化も一気に加速しました。
また、ネット通販が増えているので段ボールが増えていると思われがちですが、実は人口減少に伴って段ボールもなんです。古紙業界は重さベースで価格が決まるので、最近の段ボールの軽量化は経営的には厳しい側面もありますね。
Q.市民のライフスタイルや意識の変化も影響していますか?
そうですね。PTAや自治会、子ども会が少なくなってきて、集団回収の担い手が減っていると感じます。地域でのコミュニケーションが減り、社会的な構造変化も感じます。最近は、無人の資源回収ボックスを利用する人も増えてきているとも聞きます。地域コミュニティが弱くなることで、資源集団回収を知らない人や、賃貸住まいで地域の回収ルールに馴染みがない方も増えているのかもしれません。
紙のリサイクルの未来とメッセージ
Q.最後に、これからの紙リサイクルの未来と、神戸市民へのメッセージをお願いします。
紙は文化のバロメーターです。紙が必要なところには、これからもちゃんと使われていってほしいですね。
皆さんに伝えたいのは、「古紙はごみではなく、資源」だということです。日本は天然資源の少ない国ですが、昔から物を大切にする文化があり、市民の皆さんの高い分別意識によってこのリサイクルが支えられています。日本の古紙は海外に比べると、驚くほどきれいな状態で回収されているんですよ。
紙のリサイクルは、消費者から回収し、古紙問屋でまとめて、製紙会社で再生する仕組みが確立されていますし、歴史もあります。この素晴らしいシステムを維持するためにも、市民の皆さまの協力を得ながら資源回収をこれからも続けていきます。
どうか皆さんも、ご自身の紙の分別が、世界に誇れるすごいことだと知っていただき、資源回収に協力をお願いします。ちなみに、古紙問屋では事前に電話をいただければ、市民の方からの古紙の直接持ち込みも大歓迎ですよ。
<もっと知りたい方へ>
古紙類回収拠点マップ
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