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環境にやさしい神戸をつくる人たち

インタビュー・文 /北村胡桃 写真/江副真文

放置竹林の増加で起こるさまざまな問題。
竹を有効活用する循環モデルづくりに
挑戦したいと思いました。

BambooにThank you Project

神戸版地域おこし協力隊  吉田彰さん
甲南大学経済学部3回生 寺山恵一さん
瀬古尚貴さん 髙山知希さん
和田英利さん 河村友貴さん
甲南大学文学部4回生 武藤彩葉さん

甲南大学の学生・神戸版地域おこし協力隊隊員・地元企業が一つになり、竹林問題解決に向けて「竹林被害の認知拡大」「持続的な消費」「持続的な活動基盤の構築」に取り組むプロジェクト。

Bambooにthank youというプロジェクト名の想い
私たちは『竹』を通じて竹を取り巻く様々な問題を知ったり、学生、社会人、農家の方々、活動を行う高齢者の方々など様々な人と巡り合うことができました。本来なら交わらない私たちをつないでくれた竹に感謝という意味を込めてBambooにthank youというプロジェクト名をつけました。(クラウドファンディングページより)

クラウドファンディングページ
https://camp-fire.jp/projects/view/502945
Twitter
https://twitter.com/bambooproject21

-活動内容を教えてください。

寺山さん
放置竹林の問題を解決することを目的に、竹林を整備し刈った竹を竹炭や竹パウダーなどに加工して、有機農業の肥料や土壌の活性剤として有効に活用する循環モデルづくりに挑戦しています。チームは甲南大学の大学生と教員、神戸版地域おこし協力隊の吉田さん、地域のプロモーションをサポートする地元企業・神戸白黒(はっこく)で編成されています。社会人チームと大学のサポートのもと、学生が主体となって活動しています。
活動の1年目は、竹林問題とプロジェクトの認知を拡大することを目標に取り組みを進めました。クラウドファンディングで活動資金を募り、甲南大学内で2つの企画をしました。1つ目は、竹炭パウダーを使った学食メニューの企画『ブラックうまいデー』です。「学内の認知拡大で身近なのは学食ではないか?」と考えて大学生協に交渉し、期間限定で学内のカフェで竹炭パウダーを使ったメニューを提供しました。2つ目は、竹のクリスマスツリーの制作です。クリスマスシーズンに、甲南大学のエントランスに約4メートルの竹でできたクリスマスツリーを展示しました。これらの活動を新聞やテレビに取り上げていただき、企業から「コラボできないか」「使い終わった後の竹を有効活用できないか」と問い合わせをいただくようになりました。2年目の活動では、具体的に竹の活用方法を考え、竹炭を使った肥料づくりや商品企画などを行っていく予定です。

-プロジェクトのテーマである「竹林」にはどのような問題がありますか。

寺山さん
竹は古くから竹細工や竹炭として活用されてきましたが、技術革新によって石油燃料やプラスチックに代替され竹の消費が減少したため竹林面積が年々拡大しています。竹は成長力も早く、生命力も強いため継続的な整備が必要不可欠ですが管理の担い手が少なく、全国で放置された竹林が問題になっています。放置竹林の増加により、さまざまな問題が発生します。例えば、日当たりが悪くなり農地が利用できなくなるなどの問題が発生します。その結果、農地が減り食料生産に影響が及びます。また、竹は根を15センチしか張らず地面を固定することができないため、土砂災害が起こりやすくなります。さらには、竹林に浸食された里山は住める環境でなくなり人口が減少し、税収の減少で行政サービスの質が低下するなど、まちにも影響が広がります。このように、竹林問題は、私たちの暮らしにも関わる問題であることを知ってもらうことが重要です。

-Bambooにthank you Projectはどのようなきっかけで始められたのでしょうか。

寺山さん
私と武藤さんが、甲南大学と朝日新聞大阪本社が共催している「関西湾岸SDGsチャレンジ」というプロジェクトで、神戸市の放置竹林問題をテーマに竹を資源として活用する循環モデルの提案を行いました。「提案だけでなく実践したい」という想いを受けとった神戸市とグループの指導担当の先生とで話を進めてくださり、地域おこし協力隊の吉田さんないにつでいただきました。そこで「実践する団体をつくろう」という話になり、友人に声をかけ新たに4人が参加してくれました。

𠮷田さん
私は地域おこし協力隊として2年前に神戸市北区に移住し、現在は古民家に住みながらまちおこしをしています。移住当初、古民家の周りは竹藪が生い茂っている状態でした。刈った竹の竹炭への活用を考えていたところ、神戸市の方から「竹林問題をテーマにした学生の企画を実現するために手を貸してくれませんか」と相談があり、「学生がやりたいなら!」と協力することにしました。寺山くんたちにはまず、古民家周辺の竹林をフィールドとして、実際に竹の伐採を体験してもらいました。「伐採にはとても力がいるんですね…」と竹林の管理がいかに難しいか実感してくれたようでした。あとは、クラウドファンディングのために週1回ミーティングをして、竹林問題をどう伝えるべきか議論し竹林問題の理解を深めていきました。

-初めに提案をされた寺山さんと武藤さんは、どのようなきっかけで環境問題にアクションを起こそうと考えたのでしょうか。

寺山さん
SDGsに興味を持ったきっかけは、大学の1年生の頃に受けた、食品ロス問題を取り扱う授業です。スーパーマーケットのアルバイトで食品廃棄を身近に見ることもあって「何かSDGsに関わりたい」と思いました。

武藤さん
私は、幼少期から週末に田舎暮らしをしていたことが原点です。大学で環境問題に関わることやフィールドワークをしたいなと思っていました。また、テレビでもSDGsの話をよく聞くようになって、自分も何か関われたらいいなと考えて参加しました。

-新たに加わったメンバーの皆さんは、寺山くんの誘いを受けてなぜ参加を決めましたか。

河村さん
SDGsや環境問題に関われば、社会全体が変わるのではないか、この取り組みで助かる人がいるのではないか、と考えて参加しました。

瀬古さん
僕はSDGsという言葉を広告などで見かける程度であまり内容を知りませんでした。でも寺山くんの話を聞いて、面白そうだし勉強できるかなと思って参加しました。

和田さん
誘いを受けるまではSDGsや環境問題に興味はなかったのですが、何か一つでも行動すれば「罪悪感」がなくなるかもと思い行動することにしました。

高山さん
大学時代のうちに何か挑戦してみたいという気持ちが強かったです。

-大学で企画を行った際、友人などからの反響はありましたか。

河村さん
竹のクリスマスツリーの展示をしたとき、同じゼミの子から「あれ河村がつくったんや、すごいな」と言ってもらいました。立ち止まってツリーを見る方も多く、放置竹林問題をまとめたポスターを真剣に読んでいる方もいて好感触でした。やってよかったと思います。

寺山さん
一年間の活動を通して「来年度一緒に活動したい」という学生が5人も申し出てくれました。今年4月には、新1年生に対しメンバー募集をする予定です。

-竹林問題に取り組む上で、神戸はどのような特徴がありますか。

𠮷田さん
街と里山の距離が近い点が一番の特徴ですね。竹林に訪れてもらいやすいですし、竹の利用を考える上でも消費者に近いのはメリットだと思います。

-取り組みを行う上で課題はありますか。

𠮷田さん
竹は沢山伐採すると、その分次の年は多く生えてくるという特徴があります。一回切っても、来年切る人がいなかったら逆に増えてしまうんです。そのため、行政や大学、民間企業などの力を借りて竹林整備を継続していくことが大切です。プロジェクトを寺山くんたちの後輩に引き継ぎ、継続できる体制づくりをしていかなければなりません。

-今後の活動の展望をお聞かせください。

𠮷田さん
竹の一番の利用価値はタケノコ。農家の人にとってタケノコは、竹林のメンテナンスをしたご褒美として捉えられてきました。今後竹林問題を解決するためには、まずはタケノコをきっかけにして竹林に足を運んでもらい、関わる人を増やしていくという流れをつくりたいと思います。また、学生たちに竹林整備という大変な活動だけでなく、楽しんで参加してもらい地元愛を育むような活動も取り入れていきたいですね。

寺山さん
こうして自分たちの提案が実現に向かっていることは、どちらかというと「安心した」という想いが強いです。企業の方から連絡をいただくなど、話がここまで大きくなるとは予想していなかったのでかなり驚いています。今後どのような活用方法を実践していくのか、メンバーみんなで話し合い、取り組みを進めていきたいと思います。

―これからの活動に期待しています。ありがとうございました。

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