GO GREEN KOBE 環境にやさしい神戸をつくる。

Articles

環境活動リサイクル

最終更新日:2025年2月14日

プラスチック削減を実現した商品パッケージはさらにその先へ。
食の力を信じて環境問題に挑み続けるネスレ日本の想い。

ネスレ日本株式会社
マーケティング&コミュニケーションズ本部 コーポレートアフェアーズ統括部
サステナビリティ&ステークホルダーリレーションズ室

鷲谷 僚子さん

 

みなさんは、スーパーやコンビニで紙のパッケージのお菓子を見かけたことはありますか?最近、多くの場面で使い捨てプラスチックの削減の取り組みを目にするようになりました。神戸に本社があるネスレ日本は、「キットカット」や「ネスカフェ ゴールドブレンド」のパッケージのプラスチック削減を始め、さまざまな環境にやさしい取り組みを行っています。今回は、その背景や展望を伺いました。

ネスレの根底には、創業者の「食の力で社会をよくしたい」という想いがある。

ネスレは1867年にスイスでアンリ・ネスレが創業しました。当時は産業革命の時代。栄養不足が原因による乳幼児の高い死亡率が社会問題となっていました。薬剤師の助手だったアンリ・ネスレは、子どもたちの栄養不足を解決しようと研究を重ね、安全で栄養価の高い乳児用の乳製品を開発。それがネスレの始まりです。社会課題を解決したいというアンリ・ネスレの想いは、創業から150年以上経った今も受け継がれ、世界中のネスレで働く社員が大切にしている言葉があります。それは、“ネスレは食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます”というネスレのパーパス(存在意義)です。1913年に創業したネスレ日本も、アンリ・ネスレの想いを胸に日本の社会課題、そして世界の社会課題に挑み続けています。
パーパスを実現するためにネスレは、食の事業を通じて社会、地球にとって有益であることを目指す、ビジネスのアプローチ「共通価値の創造(CSV)」を進めています。創業150周年を迎えた後、世界共通で注力する3つの分野「人と地球のために」「コミュニティのために」「家族とペットのために」を定めました。この3つの分野で、ネスレの資源を活用しそれぞれの国が抱える社会課題の解決にチャレンジしています。今回は、資源と環境を守ることにコミットメントした「人と地球のために」の分野について詳しく伺います。

鷲谷さん
社員は仕事で迷ったとき、このパーパスに立ち戻ります。仕事をする上で常に、どういうところで社会に貢献できるのか、どこの部署を巻き込めば実現できるのか、仕事をする上で社会が抱える課題は何か、どういうところでその課題をネスレがもつ食の力でどのように解決できるかということを考えています。

プラスチック削減を実現したパッケージをさらに活用。紙パッケージは糸へアップサイクル。

ネスレは、2025年までに「バージンプラスチックの使用量を1/3削減」「プラスチックパッケージの95%以上をリサイクル可能に設計」(2018年対比)という2つの目標を掲げています。 その目標達成のため、様々な取り組みを行っています。例えば、2008年に発売した詰め替えパック「ネスカフェ ゴールドブレンド エコ&システムパック(つめかえパック)」は、発売からプラスチック使用量の削減や軽量化の改良を重ね、品質を保つことを維持しながらプラスチックを限りなく削減。2019年からは「キットカット」の大袋製品の外袋素材をプラスチックから紙に変更し、2020年にはほぼすべての「キットカット」大袋製品の外袋が紙になりました。

さらに現在、商品パッケージの挑戦は一歩先へと進み、商品パッケージを回収しアップサイクルする取り組みが始まっています。2023年3月に、資源や食物残渣のリサイクル率向上を目指す企業連携プラットフォーム「一般社団法人アップサイクル」に設立企業として参画しました。使用後の紙資源や森林の手入れから発生する間伐材などから紙糸を作成するプロジェクト「TSUMUGI」と協力し、六甲山の間伐材と「ネスカフェ」や「キットカット」などの紙パッケージを原料に紙糸を開発。紙糸で作ったアップサイクル商品としてTシャツやトートバッグ、アクセサリーなどが生まれました。加賀友禅や水引、刺子などの日本の伝統工芸や、学生とのコラボによる商品の開発にも力を入れています。

製造や物流などさまざまな場面で、温室効果ガスを削減。目標の達成は着実に。

気候変動への取り組みとして「2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを達成」という目標のもと、さまざまな場面での削減を実現してきました。例えば、製造の場面では、2023年6月、日本にある3つの自社工場すべてで、購入電力が再生可能エネルギー由来100%に。その結果、3工場合計の温室効果ガス排出量年間削減量は約50,000トンになる見込みです。静岡県の島田工場と兵庫県の姫路工場では、コーヒー抽出行程で排出されるコーヒーかすのほぼ100%をバイオマスとして再利用し、その再生可能エネルギーで発生した蒸気を工場の熱源として利用しています。物流の場面では、トラック輸送から鉄道輸送へ移行する“モーダルシフト”を推進。2024年2月には静岡エリアから関西エリアへの定期鉄道輸送を開始しました。その結果、二酸化炭素排出量が年間およそ900トン削減できる見込みです。

ネスレ日本の取り組みをきっかけに、子どもたちの行動変容へとつながる探究授業を開発。

ネスレ日本のさまざまな取り組みを活かし、教育にも力を入れています。2021年から全国の小中高校生を対象に、環境問題について考える出前授業を開始。2023年には、より多くの学生に学びの場を提供しようと、中高生向けの探究学習映像教材「ネスレ サステナビリティ プログラム ~はじめよう探究学習~」を開発しました。ネスレ日本の取り組みを動画で学び、グループワークで社会課題に対して自分たちができることを考えて発表するという内容です。ホームページから申し込めばどこの学校でも使うことができます。すぐに授業で使えるように、ワークシートや詳しい説明書を提供しています。このプログラムをうまく活かして行動変容を起こした学校には「ベストプラクティス大賞」の表彰も。鷲谷さん自身も出前授業で講師をされるそう。学生や先生からどんな反応があるのでしょうか。

鷲谷さん
学生の皆さんからは「ネスレがこんな取り組みをしているのを知らなかった」という声は多いですね。「グループワークやフィールドワークでみんなで話し合う中で、協力することの大切さを学べた」「授業を受けて、生徒の意識が変わった」という声を聞くこともあります。

本社のある神戸で、NPOや行政、学校と連携した取り組みを展開。環境活動が活発な神戸に、貢献していきたい。

ネスレ日本は神戸のまちに貢献したい想いから、2019年よりNPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトと協働で須磨海岸の清掃活動を始めました。2023年には株式会社神戸製鋼所も加わり、3団体で毎年実施しています。活動には、ネスレ日本の社員の皆さんとその家族も参加。「社員1人1人が、意識を持つことが大切」と鷲谷さんは言います。ほかにも、神戸市各地に開設されている資源回収拠点「エコノバ」への協力や、兵庫県立大学と連携したコンポストの普及活動など、神戸をフィールドにさまざまな環境活動を展開しています。こうした取り組みを中心になって進めている鷲谷さんに、環境活動をする上での神戸の印象を伺いました。

鷲谷さん
神戸は環境の活動に、積極的に取り組んでいる印象を受けます。2024年10月に開催された「こうべ環境博覧会 かんぱく 2024」に参加したとき、たくさんの団体や企業が出展され来場者も多く、すごく環境のことを考えた都市だなと思いました。資源回収の拠点である「エコノバ」は資源を回収する目的だけでなく、エコノバを通じて地域の人たちが交流するという側面にも力入れているところに、ネスレのパーパスにつながる部分があると感じていて。ポテンシャルのある神戸で、環境に配慮した取り組みだけでなく、神戸市民のことを考えたまちづくりにこれからも貢献していきたいです。

直接伝える機会を増やして、ネスレ日本の活動をもっと多くの人に知ってもらいたい。

商品パッケージの改良やアップサイクルの拡充など、ネスレ日本の挑戦はこれからも続いていきます。鷲谷さんに今後の展望を伺いました。

鷲谷さん
ネスレ日本の環境の取り組みを知ってもらい、商品パッケージの回収などに協力していただくためには、一方的に発信するだけではなくて、直接消費者の皆さんに伝えることがとても大事だと思っています。私たちの部署としては、子どもたちへの探究学習を進化させたり、イベントなどに参加したりして、直接伝える機会をもっと増やしていきたいですね。

コーヒーの背景を知ると、1杯のコーヒーが貴重になる。

外に出向いてリアルな声を聞ける今のお仕事が好きだという鷲谷さん。普段環境にやさしいことをしているか尋ねると、コーヒーにまつわるお話をしてくれました。

鷲谷さん
ネスレ日本は2019年から「ネスカフェ 沖縄コーヒープロジェクト」を開始しています。沖縄県内の耕作放棄地などを活用し、国産コーヒー豆の栽培に本格的に取りむことで、沖縄県の第一次産業における問題解決に取り組んでおり、コーヒー農園の支援を行っています。 その関係で最近コーヒー農園へ伺ったのですが、そのときにコーヒーを作る過程が本当に大変だと知りました。まず苗木を植えて、実がなるまでに2、3年かかります。収穫は手摘みで、さらにそこから選別し焙煎すると収穫した量から半分くらいになります。1杯のコーヒーが出来るまでにはこうした長い過程があることを知り、今まで以上にありがたい気持ちでコーヒーを飲むようになりましたね。

今回の取材を通して、私たち消費者も少しずつ意識を変えていくことが大切だと感じました。普段何気なく買う商品には、私たちの手に届くまでにどんな過程があって、使った後はどうなるのか、みなさんも一度、想像してみませんか? 紙糸として再生される「ネスカフェ ゴールドブレンド エコ&システムパック」の回収は、神戸市内各地にある資源回収拠点「エコノバ」でも実施しているので、ぜひ回収に参加してみてください。

 

ネスレ日本株式会社
https://www.nestle.co.jp/

ネスレにおけるサステナビリティ
https://www.nestle.co.jp/csv

TUMUGI
https://tsumugi-upcycle.com/

SNS でシェアする

トップへ戻る