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最終更新日:2022年8月11日
インタビュー・文/こべッコリー 永尾信久 写真/ONDO・Re.colab提供
人と自然がコラボする。
新たな循環を生み出すために、
共創の場をつくる学生団体。
Re.colab KOBE
出口 真愛さん(関西学院大学文学部3回生)
白石 章悟さん(近畿大学農学部3回生)
下坂 悠斗さん(近畿大学文芸学部3回生)
関西学院大学の学生を中心とした学生団体。神戸市内をフィールドに活動中。合言葉は「Re collaboration(リ コラボレーション)」。耕作放棄地を自分たちの手で開墾し里山にする。須磨の海を里海化する。メンバーそれぞれが主体的に考え行動する中で、人と人、人と自然、海と山をコラボレーションさせて、新しい循環を生み出していきます。
web site
https://www.asahi.com/ads/ko-do/recolab/
Instagram
https://www.instagram.com/re.colab_kobe21/
Information
活動場所:神戸市北区、須磨海岸、烏原貯水池など
メンバー:70人程度(一回の活動に大体10人~20人が集まる)
男女比 :女子の方が少し多い
活動頻度:毎週土日(長期休暇の時は週3回程度)自由参加制
─Re.colab KOBE(以下リコラボ)の活動内容を教えてください。
出口さん
大きな活動としては神戸市北区の多須呂畑(リコラボファーム)での活動です。様々な作物の栽培や耕作放棄地の開拓、貯水池の生態の調査(外来種など)をしています。また畑の活動とは別に、須磨里海の会と連携して、須磨の海を生態系の豊かな「里海」にする活動や、神戸市須磨区の烏原貯水池で神戸市水道局の方と共に「ブルーカーボン」の活動を行っています。今年度からは、空き家のリノベーションに挑戦したり、来年度に実施予定の養蜂の準備を進めています。
─畑ではどんなものを栽培していますか。
出口さん
大麦や、ぶどう、じゃがいもを始め、一年中季節に合わせていろいろな野菜の栽培に挑戦しています。これから秋から冬にかけて白菜など冬野菜の栽培をしていく予定です。昨年は11月に大麦の種を蒔いて5月に収穫しました。
─リコラボを始めたきっかけを教えてください。
出口さん
大学の先生の呼びかけがきっかけでした。関西学院大学の松村淳 准教授が、神戸市の職員の方からボランティアに興味のある学生が集まる場がつくれないかという相談を受け、そこに集まった学生がリコラボを発足させて、2021年の4月から活動が始まりました。最初は5人くらいの少人数でしたが、もともとの知り合いや友達の友達といったつながりを通じてメンバーを増やしていき、現在は60〜70人規模の団体になりました。
─リコラボが大切にしていることは何ですか?
出口さん
エコボランティアを通じた活動の中で、「つながり」を大切にしています。様々なつながりがある分だけいろんなことができる人が集まって、その分みんなでできることが広がっていく。これをできるひとがみんなにこれを教えて、あれをできる人がみんなにあれを教えて、ということを続けていく中、気づかないうちにみんなのできることが広がっていき、私たちの活動が進んでいると感じています。
─活動のエネルギーはどこから?
出口さん
自分の好きなことは継続して続けられますね。自分の「好き」や「やりたいこと」を追求できる環境があるからこそ、それぞれのメンバーが主体的に関わっていると思います。また土や草にふれる、火を起こすといった大学生活では味わえない自然の中の非日常な体験が、学生にとっての魅力であることも活動のエネルギーになっていますね。
─活動を始めて難しかったことはありますか?
出口さん
農業が初めてのメンバーがほとんどのため、知識や経験がないところから農業に挑戦することは難しかったです。例えば大麦の栽培で、冬にわざと麦を踏むことで麦を強くする「麦踏み」という工程があるのですが、メンバーそれぞれが麦踏みが楽しくなって麦を踏みすぎてしまい、麦が弱ってしまったという失敗もあります。(笑) 自分たちで情報を集めながらなんとか麦を回復させることができ、最後は立派な麦を収穫することができました。失敗はあるものの自分たちでインターネットや知り合いの方から情報を集めて、畑で実践しながら、何がうまくいくのか、いかないのかを試行錯誤しながら楽しく学ぶことができています。
─一番楽しい瞬間はいつですか?
出口さん
活動後、みんなで食事に行くときですね。(笑) 体を動かして汗を流した後にみんなで食べるごはんは最高です!
白石くん
火を起こすときが一番楽しいですね!自然の中で活動している時はずっと楽しいんですけど。(笑) あとはいろいろな生き物を見つけたりすることも楽しいです。
下坂くん
自分たちで考えて活動を創るところが楽しい!大学では経験できないことがここにはたくさんあります。自分たちがしたいことを提案して、それをメンバーや先生がサポートしてくれる良い環境だなと感じてます。
─広報活動はどのようにしていますか?
出口さん
広報は主にインスタグラムを活用しています。その日の活動内容を投稿していますが、最初は機械的な文章で書いていたものを、最近ではメンバーの個性を生かした視点の活動報告をするようにしています。ハッシュタグで#SDGsなどをつけて、その分野に興味がある人のおススメにでてきて、自分たちの活動を知ってもらえるようするなど、様々な工夫をしています。より多くの人に、自分がやりたいことに挑戦できる場所があるんだよって伝えたいんです。
─活動頻度はどれくらいですか?
出口さん
主に毎週土日に活動しています。夏休みなど長期休みには週に2~3回活動を行います。場所はリコラボファームや須磨海岸など、時期によって変わります。またイベントの参加もありますね。
─これからのリコラボの展望を教えてください。
出口さん
リコラボファームや烏原貯水池、須磨の海での活動を続けていくと共に、新たな活動として空き家のリノベーションと養蜂に取り組んでいく予定です。空き家のリノベーションは、神戸市西区にある空き家を、持ち主の方と相談しながらリノベーションを行いリコラボの拠点を作ります。建築家や知り合いの方に依頼しながらクラウドファンディングを使って資金を集めて進めていきたいです。養蜂は自分たちで巣箱を作ったり、やり方をいろいろな人に教わりながら、自分たちで調べながら来年度取り組んでいく予定です。
また、5月に収穫した大麦を農家さんに買い取ってもらったように、自分たちで育てた作物を少しづつ販売していきたいと思っています。そしてその収益で次に植える種を買ったり、栽培に必要な材料や機械を買うなど、自分たちで活動資金の循環をつくりたいです。金銭面での課題をクリアしながら、ゆくゆくはNPO法人化をしたいと思っています。そして様々な社会問題を解決につながる活動を楽しみながら、学生の居場所として共創の場を創っていきたいです。
─取材担当者の感想 こべッコリー 永尾信久
リコラボのインスタグラムでどんな活動をしているのかを取材前に見ていて、とても楽しそうな活動をしているなと思いながら、取材に向かいました。実際に現地に行って、リコラボメンバーのみなさんが本当に楽しそうに活き活きと活動をしている姿を見て、自分たちが好きなこと、やりたいことに取り組んでいるのだなと感じました。耕作放棄地の開拓、再生という問題に対して、「楽しむ」という切り口で取り組む活動は、僕自身すごくエネルギーをもらいました。また僕は取材後、そのままリコラボの活動の体験までさせていただきました。電動草刈機の使い方や、火の起こし方、竹を使った割りばしの作り方など様々な技術を教えてくれたり、畑にいる虫や花、草の名前なども教えてもらいました。メンバーそれぞれがいろいろな知識や技術を活動の中で身につけていることにとても驚きました。取材や活動体験を通して、リコラボはこれからもっと発展していく団体だと感じました。
─今後の活動に期待しています。ありがとうございました!
(取材日:2022年6月25日)
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