
生ごみを「ごみ」から「資源」に。
伝え続けることで、大学生のコンポストへの意識が変わった。
社会問題解決をコンポストから考える、兵庫県立大学の挑戦。
兵庫県立大学 国際商経学部 森谷 義哉 准教授
森谷ゼミ生、OGのみなさん
社会全体のごみの量を減らすには、ごみを生み出す人の意識と行動を変える必要があります。
では、具体的に何をすればいいのでしょうか?
2023年度からネスレ日本株式会社サポートのもとコンポスト(キエーロ)を使ったごみ減量と啓発活動を進め、
2025年度からは神戸市環境局、ネスレ日本株式会社と連携した「こうべキエーロ コーヒープロジェクト」に参画するなど、「社会問題解決」に取り組む、兵庫県立大学 国際商経学部 森谷ゼミのみなさんにお話を伺いました。
キャンパス内への設置と啓発活動の結果、
コンポスト認知度が大幅にアップ。
兵庫県立大学 国際商経学部には、1回生後期から2回生前期までの1年間、「プロジェクトゼミナール(通称:プロゼミ)」と呼ばれる問題解決型の学習プログラムがあります。森谷先生が担当するプロゼミのテーマは「社会問題の解決」で、2023年度から「食品ロス問題」を取り上げ、廃棄される食品ごみの減量策としてコンポストに着目してきました。
1期目(2023年度後期~2024年度前期)は、まず、神戸市が2023年度から生ごみ減量プロジェクトとしてスタートした「こうべキエーロ」の出前講座を受講し、コンポストの基礎から学ぶことから始めます。
受講後、ゼミ生たちは「自分たちはコンポストのことをよく知らなかった。ということは他の学生たちも知らないのでは?」と仮説を立て、2班に分かれてコンポストの認知度向上を進めることにしました。キャンパス内へのコンポスト(キエーロ)設置を進める班と、SNSやイベントで啓発活動を実施する班です。
キャンパス内にコンポスト設置を目指す班は、まず大学関係者に設置交渉を開始します。班のメンバーでプレゼン資料を作成し、「におい」や「虫」など、設置の際に懸念される問題への対策や想定される質問への回答を入念に準備して交渉に臨んだ結果、見事設置が認められたとのこと。コンポストは、食堂から出る調理残渣をスムーズに入れられるように、食堂横に設置し、容器の形状や運営体制は、メンバーや森谷先生と相談しながら構築したそうです。
啓発活動を進める班は、まず現在のコンポスト認知度について、キャンパス内でアンケート調査を実施。
その結果、認知度は約30%(回答数約230人)で、班のメンバーはもっと認知度を上げようと、
ポスターやSNSを使った広報とイベントを企画しました。
キャンパス内の留学生寮で、留学生と一緒にフルーツポンチを作り、残渣をコンポストに入れるイベントや、
体験キット配布イベントなどを実施した結果、参加した留学生からは「簡単にできる」「楽しい」とのうれしい感想が。そんな啓発活動が功を奏したのか、再び実施した認知度アンケートの結果はなんと認知度約60%に大幅アップ。
1年間の取り組みがキャンパス内に浸透したことがはっきりと数字に現れたのです。
当時のゼミ生は「短期間でさまざまな企画に挑戦したので大変でしたが、チラシ作成やイベントの企画運営の手法など、学びが多かったです。」「活動を通して、興味を持ってくれる人が増えたり、実践してくれる人まで出てきて、コンポストの良さが伝わってよかった。」と話してくれました。
活動は3期へ。神戸市環境局、ネスレ日本と連携した
コーヒープロジェクトがスタート。
1期目に手応えを感じたゼミ生の活動は、メンバーが入れ替わりながら2期目、3期目へと続きます。
3期目の2025年度後期も、1期目に設置したコンポストを継続して実施。毎週1回、ゼミ前になると、
その日の当番が食堂で出た調理残渣をコンポストに入れる作業を行います。
半年間、毎週調理残渣を入れた土は、肥えた有機の土となり、キャンパス内の花壇の土として利用されるようになりました。現在もゼミの時間には、食品ロス問題の現状や世界の先進的な取り組みについて学び、コンポストの周知拡大のための活動を進めています。
今年度は新たな試みとして、ネスレ日本株式会社、神戸市環境局と連携した、「こうべキエーロ コーヒープロジェクト」が始まりました。コンポストでコーヒー抽出後に残ったコーヒーかす(以下、コーヒーグラウンズ)を分解し、その土を花壇に使用して循環させるプロジェクトです。
毎週1回、中央区のネスレ日本株式会社から提供される、コーヒーグラウンズを含むコンポスト可能な紙製コーヒーポッドや、オフィスから発生するコーヒーグラウンズを、西区の兵庫県立大学キャンパス内のコンポストに埋め、分解の経過観察を同時に行っています。
食堂横のコンポストに加えて、キャンパス内の果樹園にコーヒープロジェクト用のコンポストが完成。
今後は、コーヒーを通じてコンポストをより身近に感じてもらえるような啓発活動にも挑戦して行くそう。
ゼミ生の一人は「コンポストが普及しにくい背景として、生ごみに対する認識が”ごみ”であることが問題だと感じます。ごみではなく「資源」だと認識してもらうことが大切なのではないでしょうか。」と、コーヒープロジェクトの可能性を感じたようです。
半信半疑から確信へ。実践してわかったコンポストの可能性。
2023年度からスタートした、コンポストを使った食品ロス問題解決の取り組み。
ゼミ生のみなさんは、どんな思いでこの活動を続けているのでしょうか。
率直な気持ちをメンバーに聞いてみました。
●実際にごみが分解されていく過程の観察など、取り組みが新鮮で楽しいです。
●コンポストはとても簡単だと思います。目分量、大体、適当でいいので、誰でもできます。
●祖父の畑にコンポストがありましたが、使ったことはありませんでした。
今回取り組んでみて、虫の心配もなく生ごみも減って環境に良い取り組みだと実感しました。
●生ごみのにおいや、汚れるなどのマイナスイメージがありましたが、実際にやってみると、
においはほとんどなく、汚れることもなくイメージが大きく変わりました。手軽にできるので広めていきたいです。
●コンポストでできた栄養分のある土の活用を考えたいです。
今まで遠い存在だったコンポストに関わることで、生ごみは「捨てるもの」から「資源」へ、
コンポストは「臭い、汚いもの」から「手軽で環境にいい優れたもの」へと意識が変わって行ったようです。
3期のまとめとして、コンポストのイメージポスターが完成しました。
ゼミ2025年度後期のまとめは、コンポストに対する印象を変えるポスターづくりに挑戦。クスッと笑えて目に止まる工夫や、親しみを感じるキャラクターを使ったデザイン、活動を分かりやすく紹介したものまで、
多彩なアイデアのポスターが完成し、2026年4月から、キャンパス内に掲示されます。2026年度前期のゼミでは、
ポスター掲示の効果分析や、コンポストを使ったイベント企画をさらに強化実践して行くそうです。
今回の取材を通して、社会問題の解決はまずは自分の意識、そして友人や学内など、
身近な範囲の意識を変えるところから始めることが大切だと感じました。
気軽に取り組めるコンポストは「生ごみ減量」という社会問題の解決につながっています。
ぜひみなさんも取り組んでみませんか?
Instagram
森谷ゼミ
https://www.instagram.com/project.foodloss/
website
こうべキエーロ コーヒープロジェクト
コーヒーグラウンズ(抽出後のコーヒー粉(コーヒーかす))も、生ごみと一緒にキエーロで分解することができます。
「生ごみコンポストは少しハードルが高い」と感じる方も、まずは身近なコーヒーグラウンズから気軽にコンポストをはじめてみませんか?
https://www.city.kobe.lg.jp/a25748/coffeeproject.html































