子どもたちの学びの機会を、小学校と地域が一緒につくる。
竹の台地域のキエーロは地域活性化にも効果あり?

 

竹の台地域委員会 森川賢子さん 小村美保さん 財田壽美代さん
神戸市立竹の台小学校 上村由紀先生 豊田洋平先生 髙木晴加先生

 

食品ロスやごみ問題を考えるきっかけとして、注目を集めているキエーロ。今、神戸市では食の循環学習としてキエーロを取り入れる小学校が増えています。今回紹介する竹の台小学校のキエーロの特徴は「地域連携」。学校と地域が協力して運用するキエーロとその効果とは?竹の台地域委員会のみなさんと竹の台小学校の先生方にお話を伺いました。

 

 

小学校と地域団体との連携活動が活発な竹の台。
キエーロもそのひとつとしてスタート。

竹の台地域委員会は、多様な団体で構成されるコミュニティ組織です。地域福祉や防災、自治組織の支援、登下校の見守り、情報誌の発行、「ふれあいまつり」の開催など、長年にわたり幅広い活動を続けています。
その一環として、竹の台小学校と連携した出前授業にも力を入れてきました。地域住民が講師となり、1年生の「昔のあそび」や3年生の「豆腐づくり」、4年生の「防災」、6年生の「Be Takenodai」など、学年に応じた学びを届けています。
2005年から始まり、約3千人が参加する「竹の台ふれあいまつり」を、3年前から小学校の登校日とし、子どもたちが学習成果を地域の方向けに発表する場としました。
このように、地域を挙げて子どもたちの成長を育んできた竹の台において、4年生の「キエーロ学習」を地域委員会がサポートすることは、まさに自然な流れといえるでしょう。

[森川さん]
キエーロには私も前から興味があって、土に埋めるだけで微生物が有機物を分解するしくみは、子どもたちが楽しみながら理科を学ぶツールとしてとてもいいなと思っていました。今回、竹の台小学校でキエーロに取り組むと聞いて、ぜひ私たちも一緒にやってみたいと、地域委員会としてサポートすることを提案しました。

 

子どもたちの学びの機会を地域がしっかりフォロー!

キエーロ学習に取り組んだのは小学4年生の子どもたち。社会科で学ぶ「ごみの学習」に絡めて、「総合的な学習」として1年間取り組みました。
まず4月に神戸市環境局のキエーロ出前授業を受け、全員が実際に使い方を体験。その後は、当番の児童が給食の調理過程で出た野菜くずを、毎日キエーロに埋めていきます。8月の夏休み中には、1か月ほど野菜くずの投入を止め、キエーロ土を熟成させたあと、キエーロの土を学習園に移し、9月に入って児童が小松菜とチンゲン菜の苗植え、大根の種まきを行いました。10月になって育った野菜を収穫して給食に利用。11月には「竹の台ふれあいまつり」でキエーロの取り組みを発表しました。

この1年間のプログラムの中で、地域委員会は子どもたちがスムーズに活動できるように工程をサポート。4月の授業や種まきでは、先生方の補助役として子どもたちをフォローし、学校園では、土を耕して準備し、苗植え、種まき前には雑草抜き、栽培中は、定期的な水やりや雑草抜きに取り組みました。

[森川さん]
子どもたちに「ここに並ぶんやで」とか「ここに種をまくねんで」と教えたり。学習園では、その日に都合のつくメンバーが集まって、お世話をしていました。葉物野菜の芽は小さいうちは虫に食べられてしまうので、しょっちゅう来て、虫取りをしていましたね。(笑)

[豊田先生]
4月の出前授業の際に、地域委員会の方に細かくフォローしていただいたおかげで、子どもたちは、これから1年間何をするのかがしっかり理解できたと思います。

[髙木先生]
雑草抜きや土日の水やりなど、子どもたちだけではできなかった部分をフォローしていただいて、とてもお世話になりました。子どもたちが作業する時も見に来ていただいていましたね。

 

調理士の方々の協力で収穫野菜を給食食材に。
家族も地域も学校も、みんなで応援しました。

地域委員会のサポートもあり、秋に無事野菜を収穫することができました。キエーロの土で育てた野菜の給食利用は、竹の台小学校が初めて。前例がなく、とても難しい挑戦でしたが、調理士の方々の前向きな協力があり実現することができました。さらに子どもたちは、小松菜とチンゲン菜を一人1枚、大根は1本ずつ、家に持ち帰ることができました。

[森川さん]
収穫のタイミングが難しくて、小松菜とチンゲン菜は、ひとり葉っぱ1枚程度の量だったのですが、それでも子どもたちは喜んでくれて、「美味しかった!」という話を聞きましたよ。

[上村先生]
子どもたちに、持って帰った野菜のことを尋ねると、保護者の方がお浸しや卵に入れて調理してくれたそうです。葉っぱ1枚を丁寧に料理して「この小松菜はあなたが採ってきた小松菜だよ。」と言って食べさせてくれた、と話していました。竹の台小学校の保護者の方々はとても協力的で、子どもたちのがんばりを活かしてくださったのはとてもありがたかったです。

 

 

土づくりから収穫まで、最後まで取り組めた達成感。
子どもたち自身が、次の学年にもキエーロを引き継ぐと決めました。

さまざまなサポートと工夫があって進められてきた1年間のプログラム。子どもたちはどんな反応を見せたのでしょうか。

[豊田先生]
「竹の台ふれあいまつり」での発表を聞いていると、「自分でやった」「自分が関わった」という感覚を持った子が多くいたんだなと思いました。キエーロ当番ではない日に「私も一緒に行っていい?」とついていく子や、「家でもキエーロをやってみた!」という子もいて。思っていたより、前のめりの子が多かったですね。
[髙木先生]
使われていなかった学習園のカサカサの土をキエーロの箱に入れ、毎日野菜くずを入れ続けて数か月経つと、とてもやわらかい土になっていて、私自身驚きました。「いい土になっているんやで。」と子どもたちに伝えたら、「キエーロすごいな!」と反応していました。
[上村先生]
子どもたちに1年間を振り返ってもらうと、いい意見もあれば、「大変だった」といった正直な意見もありました。「じゃあ、来年どうする?」と問いかけたら、「次の4年生にやってほしい。しんどいこともあったけど、いいこともいっぱいあったから頑張ってほしい」という意見でまとまりました。今は、次の4年生に引き継ぐために、実行委員を決めて、子どもたち自らでキエーロの活動を伝える方法を考えています。

 

誰でも気軽に参加できるキエーロ。
顔の見える地域の関係づくりにもつながります。

1年間、子どもたちの学びの場をサポートしてきた地域委員会のみなさんは、どんな想いで活動されてきたのでしょうか。活動に参加した森川さんと小村さん、活動を見てこれから参加する予定の宝田さんにお話を伺いました。

[森川さん]
地域活動をしていると、担い手不足の課題をすごく感じます。高齢化が進んで、孤独死などの深刻な問題が発生してきているけれど、お互いに助け合う「共助」で解決できることはあるはずです。そのためには顔見知りの人を増やして、自分の住んでいる地域を知ることが大事だと思っていて。地域団体の役になるとか堅苦しいことではなくて、自分自身が楽しいと思える活動が必要です。キエーロの活動は、子どもたちと一緒に活動して自分の元気の源になっていくし、難しくなく参加しやすいので、地域のためにももっと積極的に進めていければと思っています。
[小村さん]
コロナ禍に初めて家で野菜を育てたことをきっかけに、野菜づくりに興味を持ちました。竹の台地域が運営する農園のお手伝いをしていたのですが、「もっと野菜のことが知りたい」と考えていたときに、森川さんからキエーロの話を聞いて。畑作業の際には土の仕組みを教えてもらったりして、知りたいことが少しずつ分かってきていて楽しかったです。「子どもと一緒に学んでいる」という感覚ですね。これからも少しでも力になれるように、楽しんでお手伝いさせていただきたいと思っています。
[宝田さん]
私は今まで、畑は素晴らしいと思うけれど、植木は枯らせてしまうし、土で汚れるイメージもあって、土に触れることをして来なかったんです。でも、竹の台地域委員会のみなさんがキエーロの活動を始められているのを見て興味を持って、活動を見学させてもらいました。そこで「微生物によって、いい土になっていく」という話を聞いて、とても不思議で面白くて。学びになるし、癒しになるし、子どもたちと一緒に活動できることがすごくうれしいなと思ったので、これからも活動に参加していく予定です。

 

地域主体のキエーロ活動も始まりました!
関わる人がどんどん増えています。

今回の取り組みをきっかけに、今度は地域が主体となり、竹の台小学校の学習園の一角でキエーロの活動が始まりました。キエーロの土で、小学3年生の豆腐づくりの授業で使う大豆栽培に挑戦する予定です。今後はボランティアを広く募集して、関わる人を増やしていきたいのだそう。これからの活動に期待が膨らみます。

竹の台の取材を通して、キエーロが子どもたちの学びの機会だけでなく、地域の活性化につながる可能性があると感じました。みなさんも、キエーロを使って、地域ぐるみの新しい、楽しい活動に挑戦してみてはいかがでしょうか?

website
竹の台地域委員会
https://www.takenodai.info/

神戸市立竹の台小学校
https://www.kobe-c.ed.jp/tkn-es